「サイエンスとは論理と証拠のゲームである」大学院時代の指導教官の口癖です。
自分が属するコミュニティで最大に他を納得させた説が現時点では正しいだろう見なされます。
しかし、本当の意味での真理は誰にも分かりません。
真理は神のみぞ知る。
科学者ができることは自らが立てた仮説が真理に近いことを祈るのみです。 指導教官と議論しているとき、煮詰まってくるとこんな話をよくしたものです。今の私の思考の礎となるかけがえのない経験でした。
私の考察も仮説です。ですが、私は自らの考察が真理に近いことを切に願います。
[LHJメソッドによる筋膜リリースに関する考察]
筋膜とは膜と名が付いているがその本質は網である。コラーゲン、エラスチン、レリクリンが細かい網目を作っている。さらにそのタンパク質のネットワークを包むようにプロテオグリカンが基質として存在している。
プロテオグリカンは多糖類であり、その化学的な性質は含水能力が非常に高い、という特徴あげられる(ゼリーみたいなもの)。一方、コラーゲンなど筋膜の網目を作るタンパク質は疎水性のアミノ酸からなり、タンパク質としても疎水的な傾向が強い。
それぞれの成分の化学的な性質を考えると筋膜の含水率に寄与する物質は基質のプロテオグリカンであると考えられる。
筋膜内のプロテオグリカンの含水率が低下した場合、網目の基質の柔軟性が低下し、膜の可動性が著しく低下すると考えられる。過剰な使用によって常に緊張している筋肉、逆に全く使えていない筋肉は筋肉のポンプ機能が低下し、筋肉から組織液の供給が低下する。その結果筋肉の含水率が低下する可能性がある。含水率が低下した筋肉を包む筋膜も組織液の供給が低下することで筋膜内のプロテオグリカンの含水率が低下し、拘縮・癒着すると考えられる。
隣りあう筋肉との境目で筋膜の含水率が低下して拘縮・癒着を起こした場合、筋肉同士の滑りを悪くし、関節の稼働域を低下させる。さらには、筋膜の稼働性が著しく低い場合、その筋肉自体の収縮と弛緩を阻害すると考えられる。硬くて脆い膜で包まれているよりも、柔軟性のある膜でつつまれている方が、中身の筋肉(筋繊維束)の自由度が高いことは容易に想像がつく。
筋膜の柔軟性を決める要因は含水率である。LHJメソッドではまず筋肉を緩めて筋肉の含水率を向上させる。その上で圧迫をかけることで筋膜に組織液を輸送して膜内のプロテオグリカンの含水率を向上させて、膜の柔軟性と稼働性を著しく向上させる。体感によると、この筋膜リリースによる稼働性の向上は圧倒的である。つまり、筋膜の質を向上させることで筋肉の稼働性を著しく向上させるということがLHJメソッドの筋膜リリースで行っていることである。
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